無題1


生暖かい。
桜も散って空気がヌルくなってきやがった。
こういう季節が大抵嫌いだ。
嘘だ。
ほんとは秋のほうがもっと嫌いだ。
冬は寒くて嫌いだ暑さに慣れた俺に鞭打つように冷たい風が吹きやがる。
暑さに慣れた格好もどうしようもない程度に冷えてくる。
春のような気温だとしても寒くなっていくという気持ちで余計に荒む。
つまり、夏も嫌いだ。
熱いから。
四季にちょうどいい季節なんかない。
いつも無理に合わせて、次第に慣れていくだけ。
慣れたあたりに次の季節が顔を出してもう間に合わない。
そうやって四季を何十週もしてきた。
慣れっこない。

 


気持ちいことなんてなかった。
結局振られた日のことを思い出しているんだろう。
もうろくに心も痛まないあの日辺りのことを思うと変な気持ちになる。
あれは5月くらい。
でも秋が嫌いなのはどうしてだろう。
やなことが多いのは春だ。
決まって春だ。
春はダメだ。
なのに秋がダメなのは。
結局、俺には春も秋も区別なく親な気持ちになる温度ということだね泣けてくる、ウソ、泣かないけど。
秋は空気が冷たくなる。
そのせいで春よりたち悪い。
春と似たような空気出しやがって、そのくせ風当たりがひどすぎて心をえぐる。
秋はたちが悪い。
まだ先だといことを本当にうれしくおもう。